Question  20歳のときに卵巣腫瘍の摘出手術をしました。その時は、何が何かわからず、とにかく動揺していて、先生の言ってたことを良く覚えてないません。手術後の結果は良性でしたが、片方の卵巣をほとんど摘出しました。その後、2児を出産しました。卵巣が片方しかないという事は、どのようなことなんでしょうか?両方あるのとは、やはりどこか違うんですか?閉経が早いとか、不妊につながるとか・・・。  Cat

Answer  卵巣は骨盤内部の子宮の横に左右1対ある親指大の臓器です。この卵巣は視床下部-下垂体からのホルモン命令によって、卵子を排卵したり、女性ホルモンを血液中に分泌したりしています。その女性ホルモンは女性らしい体つきを作り出す、皮膚をしっとりさせる、皮下の弾力を保つ、乳房を発育させる、骨粗鬆症の予防、コレステロール値を上昇させないなどの作用を発現しています。

この卵巣に腫瘍が発生した場合は、多くの場合手術療法となります。手術術式として両側卵巣を摘出した場合は、閉経以前の方では前述の排卵や女性ホルモンの分泌はなくなり、いわゆる「卵巣欠落症」という状態となり、月経もない状態となり、妊娠出産は不可能となります。

しかし子供さんのおられない若い女性の卵巣腫瘍の手術を検討する際には、極力妊娠する能力を温存する方向で手術術式を検討することになります。卵巣という臓器は左右に一対で分かれていますが、その機能は片方摘出して反対側だけになったり、あるいは片方摘出しさらに反対側の大部分を摘出して片側の卵巣の一部のみが残った状態となったとしても、排卵や女性ホルモンの分泌といった機能は障害されません。手術後であっても手術前と同じように機能します。おたずねの方がおっしゃっておられるように手術後にりっぱに2児を妊娠分娩されている通りです。また、卵巣手術後は閉経が早くなるといったこともおこりません。したがって卵巣が両側ある方と、手術によって卵巣を摘出しても一部分でも残っている方との機能的な差異はありませんので、ご心配は不要であると思います。