Question  妊娠中に尿たんぱくが(3+)になり、慢性腎炎になってました。妊娠9ヶ月で胎児死亡。先生は「原因は分からない」と言ってました。胎動が感じられなくなる3~4日前にはすねや手足の指がむくみました。(でも血圧や体重は正常でした)やっぱり腎炎の影響で亡くなってしまったのでしょうか?腎炎は軽く、腎機能の異常はありません。今は尿たんぱくも(-)です。9ヶ月まで大きくなってるのに突然亡くなったりするのでしょうか。次に気を付けることなど教えて下さい。  Cat

Answer  妊娠9ヶ月まで育ってからの胎児死亡で大変お気の毒でした。胎児死亡の原因についてはこのお便りからだけでは断定はきわめて困難としか言えません。胎児死亡の原因はさまざまなものが考えられますが、胎児の異常(胎児水腫、先天奇形、染色体異常、感染など)、母体の異常(全身性疾患、妊娠中毒症など)、付属物の異常(臍帯の異常、胎盤の異常、羊水の異常など)が関与しているものと思われます。

しかし、現実には次の妊娠に向けて対策を考えなければなりません。そのためには前回の妊娠の結果(妊娠9ヶ月で胎児死亡をおこしたこと)を充分踏まえて、次回の妊娠経過について注意深く、検診をおこなってゆくことになります。母体に全身的な疾患(たとえば糖尿病、血液疾患など)がないのであれば次回の妊娠はなるべく早いほうが精神的なリラックスという面ではよいと思います。

そこで、次回の妊娠をされた場合は、前回よりも検診間隔を短くする必要があるでしょう。また、妊娠の後半期になれば、妊婦検診の際も胎児の予備力を調べる検査、分娩監視装置といって子宮収縮と胎児の心拍数を経時的にモニターする装置を使ったノンストレステスト、超音波断層法(最近ではカラードップラ法といって胎児の血流を調べて胎児のより詳しい状態を調べる)などを併用して胎児死亡の前段階の胎児仮死が起こりそうだという状態を診断することが必要となります。そこで胎内環境(子宮の中に胎児がいる状態)と胎外環境(胎児を子宮内から子宮外に出して保育器の中で育てる状態)のどちらが胎児に対してメリットがあるか検討することになります。胎内環境が悪化してきて、このまま子宮内に胎児を置いておくと胎児仮死、胎児死亡が発生しそうな状況になれば、その時点で胎児を子宮外に出すことになります。その方法としては、多くの場合緊急帝王切開が行われます。

現在では母子医療センターなどが完備されつつあり、未熟児保育についても以前に比べると格段の進歩が見られるようになりました。前回は胎児死亡をおこされたという事実をふまえて、主治医とご相談のうえ次回の妊娠をチャレンジされるべきものと考えます。もちろん次回の妊娠中、母体や胎児の状態が異常なく順調に経過されれば、妊娠中や分娩についても特殊なことはなく通常通りの満期経膣分娩が期待されます。