Question  3日ほど前から膣の右入り口あたりが腫れてきました。最初はニキビみたいになものだろうと思っていたら、直径3センチくらいの山状に腫れてきました。熱を持っており、歩くのもちょっと痛いくらいです。膿がたまっているのかな、と思うのですが、ニキビみたいに、「噴火口」のようなものもないみたいだし、放っておいて大丈夫かどうかだんだん不安になってきました。よろしければアドバイスいただきたいです。場所が場所だけにちょっと病院とか行きづらくて困っています。  Cat

Answer  診察をしてみないと断定は出来ないのですが、たぶんバルトリン腺膿瘍でしょう。女性の外陰部の膣入口部を時計にたとえれば5時と7時の位置にバルトリン腺と呼ばれる粘液を分泌する分泌腺が左右対照に2個あります。これは肉眼では見えないほどの小さな開口部がありその奥に分泌腺があります。

この開口部が何らかの原因で閉鎖すると分泌されるべき粘液がその内部にたまり膨らんできます。この膨らんだ状態をバルトリン腺嚢腫といいます。大きさは小指大位のものから鶏卵大のものまで様々です。この状態では内部は半透明な粘液がたまっているだけなので、痛みはなく、ただ腫瘤として触知されるだけです。

しかしこのバルトリン腺嚢腫は分泌液の流れが停滞するために細菌感染を起こしやすくなります。細菌感染が起こるとバルトリン腺膿瘍と呼ばれる状態になります。これは貯留した内容物の中に大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、嫌気性菌などが感染増殖して、内容物が膿となったものです。こうなってくると膣入口部の5時または7時の位置の腫瘤は急速に増大し、激しい痛みを起こします。炎症が進むと周囲の発赤、腫脹が明瞭となり痛みも激化します。放置しておくといずれ腫瘤が破れて排膿がおこり一時的に治癒したようになりますが、時間が経過するとまた再発することが多いものです。

治療は一般的には造袋術が行われます。これは外来で行える手術で開口部が閉鎖しているために起こっている病変なので、腫瘤の一部を切開して内部の粘膜を翻転処理して開口部を作成し、分泌物がスムースに排出されるようにする手術です。短時間で行え、入院の必要もなく、充分な効果が期待できます。

しかし、炎症が強かったり、何度もバルトリン腺炎を繰り返したようなケースでは、バルトリン腺自体を摘出することが必要なこともあります。

(当院では現在バルトリン腺の手術は行っておりません。)