Question  毎月の生理が長く続き、出血量が多いようなので心配しています。どの程度が異常なのでしょうか?生理痛はあまりないのですが、仕事中も気になって落ち着きません。自宅で寝ていても2、3回起きています。どうすればいいか教えて下さい。  Cat

Answer  月経量については客観的な判定がなかなか困難です。すなわち何mlといった数値で表すことが難しいためです。日本産科婦人科学会では月経持続日数、および量について次のように決めています。

・ 正常持続日数の正常範囲は3~7日。

・ 過短月経:出血日数が2日以内のもの。

・ 過長月経:出血日数が8日以上続くもの。

・ 過多月経:月経血量が異常に多いもの。

・ 過少月経:月経血量が異常に少ないもの。

このような表現となるためにおたずねの内容がはたして過多月経なのかどうかは判定困難です。ご本人の訴えだけでは診断できないので、血液検査を行い鉄欠乏性貧血が進行するかどうかで診断されるのが通常です。月経が毎月ある女性は過多月経や過長月経があれば必ず鉄欠乏性貧血が起こります。

そこで、鉄欠乏性貧血があれば産婦人科では内診、超音波断層法を行い、子宮筋腫、子宮腺筋症があるかどうか調べます。子宮筋腫の中でも粘膜下筋腫といって子宮の内腔方向に発育している子宮筋腫があれば小さいものでも月経量が非常に多く極端な鉄欠乏性貧血になっている方があります。また子宮筋腫はなくて、子宮や卵巣の形は正常であっても月経量が多い方もあります。産婦人科疾患以外に血液疾患や消化器疾患、痔出血なども鉄欠乏性貧血の原因として考えられるのでそれらのものを除外するために検査する必要があります。

女性の鉄欠乏性貧血の特徴として月経時にヘモグロビンが低下しても次の月経までの間に若干の上昇がみとめられ、また次の月経でヘモグロビンが低下するといった具合に長い時間をかけてゆるやかに貧血が進行して行くためにご本人の貧血の自覚がない場合が多いようです。女性ではヘモグロビンは11.3g/dl以上が正常とされていますが、その半分以下に落ちてもまだ貧血の自覚がなく、仕事、学業、スポーツなどをされているケースがあります。これはゆるやかな貧血の進行に徐々に体がなれてしまっているためであろうと考えられます。しかし、このような状態は決して健康な状態とは言えず、将来に重大な影響があります。

治療は鉄欠乏性貧血の原因によります。

(1) 手術を行わなければならないほどの子宮筋腫があれば、貧血治療の後に手術施行となります。

(2) 子宮筋腫はあるが手術を行う必要がないかまたは子宮筋腫はないが明らかに過多月経による鉄欠乏性貧血がある場合はホルモン治療によって月経量を減らし、鉄剤の内服や注射により鉄欠乏性貧血の治療を行います。

(3) また、極端な大量出血がある場合は緊急に止血させる目的で子宮内膜掻爬術を行わなければならない場合もときにあります。